東京と大阪の通勤ラッシュ・混雑率比較
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関西の電車は、さほど混まない。
これは混雑率データを見れば明らかだ。
国土交通省では毎年、鉄道関連のデータを発表しているが、路線ごとの最混雑区間・最混雑時間帯・混雑率データを公表している。
このデータから作った東京圏の路線の混雑率ランキングと、大阪圏の混雑率ランキングを比較すると、いかに関西の鉄道での通勤が楽なのかが分かる。
ということで、2016年に発表された、鉄道混雑率ランキングを見てみよう。
鉄道混雑率ランキング トップ10(東京・首都圏)
順位 | 分類 | 路線 | 混雑区間 | 混雑率 | ピーク時間帯 |
1位 | JR | 総武線(緩行線) | 錦糸町 →両国 | 199% | 7:34〜 8:34 |
2位 | 東京メトロ | 東西線 | 木場 →門前仲町 | 199% | 7:50〜 8:50 |
3位 | JR | 横須賀線 | 武蔵小杉 →西大井 | 193% | 7:26〜 8:26 |
4位 | 小田急 | 小田原線 | 世田谷代田→下北沢 | 191% | 7:46〜 8:48 |
5位 | JR | 南武線 | 武蔵中原 →武蔵小杉 | 190% | 7:30〜 8:30 |
6位 | JR | 中央線(快速線) | 中野 →新宿 | 188% | 7:55〜 8:55 |
7位 | 東京急行 | 田園都市線 | 池尻大橋 →渋谷 | 184% | 7:50〜 8:50 |
8位 | JR | 埼京線 | 板橋 →池袋 | 183% | 7:50〜 8:50 |
9位 | 日暮里・舎人ライナー線 | 赤土小学校前 →西日暮里 | 183% | 7:30〜 8:30 | |
10位 | JR | 東海道線 | 川崎 →品川 | 182% | 7:39〜 8:39 |
東京圏の鉄道では、10位でも混雑率180%を越えている。
鉄道混雑率ランキング トップ10(関西)
鉄道会社 | 路線 | 最混雑区間 | 混雑率 | 最混雑時間帯 | |
1位 | 大阪市営地下鉄 | 御堂筋線 | 梅田 →淀屋橋 | 150% | 7:50〜 8:50 |
2位 | 阪急電鉄 | 神戸本線 | 神崎川 →十三 | 146% | 7:34〜 8:34 |
3位 | 阪急電鉄 | 宝塚本線 | 三国 →十三 | 145% | 7:32〜 8:32 |
4位 | 大阪市営地下鉄 | 中央線 | 森ノ宮 →谷町四丁目 | 140% | 7:50〜 8:50 |
5位 | 近畿日本鉄道 | 奈良線 | 河内永和 →布施 | 137% | 7:42〜 8:42 |
6位 | 大阪市営地下鉄 | 御堂筋線 | 難波 →心斎橋 | 135% | 7:50〜 8:50 |
7位 | 神戸市営地下鉄 | 西神・山手線 | 妙法寺 →板宿 | 133% | 7:15〜 8:12 |
8位 | 近畿日本鉄道 | 大阪線 | 俊徳道 →布施 | 131% | 7:36〜 8:36 |
9位 | 阪急電鉄 | 京都本線 | 上新庄 →淡路 | 131% | 7:35〜 8:35 |
10位 | 近畿日本鉄道 | 南大阪線 | 北田辺 →河堀口 | 128% | 7:31〜 8:31 |
一方、大阪圏・関西圏の混雑率は、最混雑区間でも混雑率150%だ。
これはもう、違いすぎるね。
東京・大阪、昼間流入人口の比較データ
東京の通勤ラッシュと比べて、関西の通勤ラッシュは大したことはない。
しかし実は、昭和50年(1975)には、共に200%を越える酷い通勤ラッシュだった。
ところが平成10年(1998)には、関西の最混雑区間の平均混雑率は、140%まで改善して、現在の混雑率も130%前後で推移している。
一方、東京圏でもかなり改善したが、それでも現在は170%台という、激混み状態が続いている。
この差は一体どこにあるのか。
首都圏でも、京阪神でも、通勤ラッシュ解消のために、輸送力増強や、新線開発などの努力が続いているのは確かだが、なぜこんなに差が付いたのか。
これはどうも、流入人口が関係しているらしい。
つまり東京23区外や、大阪市外から入ってくる、昼間の流入人口の変化が、東京と大阪でかなり違うのだ。
東京・大阪、昼間流入人口の比較(平成22年/2010年)
平成22年 | 昼間人口 | 市内他区常住 | 県内他市区町村常住 | 他県常住 | 外部流入 |
東京23区 | 11,711,537 | 2,037,119 | 542,979 | 2,626,459 | 3,169,438 |
大阪市 | 3,538,576 | 451,602 | 674,065 | 439,509 | 1,113,574 |
横浜市 | 3,375,330 | 538,055 | 283,315 | 126,983 | 410,298 |
1990年に、東京23区外から23区内に通勤・通学している人口は、約364万人だったが、2010年は約317万人に減っている。
率で言うと、約13%ほど流入人口が減っている。
13%減を人数で表せば、100人でギュウギュウ詰めの車両から13人降りた状態だ。
東京・大阪、昼間流入人口の比較(平成2年/1990年)
平成2年 | 昼間人口 | 市内他区常住 | 県内他市区町村常住 | 他県常住 | 外部流入 |
東京23区 | 11,287,948 | 2,533,277 | 678,265 | 2,964,013 | 3,642,278 |
大阪市 | 3,800,461 | 600,522 | 948,738 | 533,012 | 1,481,750 |
横浜市 | 2,840,252 | 562,013 | 271,650 | 110,739 | 382,389 |
一方、1990年に大阪市外から大阪市内に通勤・通学している人口は、約148万人だったが、20年後の2010年になると、約111万人に減っている。
これは率で言うと、約25%の減少だ。
100人でギュウギュウ詰めの電車から、乗客が4分の1の25人降りた状態だと考えれば、かなり余裕ができそうだね。
関西の場合はさらに、大阪・神戸・京都という風に、商工業の中心が分散しており、その間に走る鉄路道路線も、JR線と私鉄線が並行に走っている。
生産工場も堺市や門真市、東大阪市、阪神間など、大阪市の外にあることも、通勤ラッシュが酷くならない要因の一つだろう。